肛門の痛みは、痔疾患かも
直腸肛門部の血行が悪くなり、血管の一部が膨れ上がること。肛門部の血行障害によってできる痔で、痔核には歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。
内痔核
最初のうちは排便時の出血のみで痛みはありません、病状が進むとイボが肛門の外に出て痛みを生じる場合があります。大半の痔主の大半はこの内痔核です。
外痔核
いきみ等から生じる肛門皮下に血の固まりや血が溜まってできたもので強い痛みを感じるようになります。
硬い便などにより強くいきむと肛門上皮が裂けることです。
排便時に痛むため、トイレをがまんする事により、ますます便が硬くなり悪化することがあります。排便時に少量の出血もあります。
直腸と肛門の境目の小さなくぼみから大腸菌などが入り込み、直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。またおできのようなものが破れたりすると膿みが出て直腸、肛門とつながった膿みの管ができます。これを痔瘻といいます。
肛門周囲の皮膚に出口ができて、うみが出ます。出口がなかったり、出口がふさがると肛門の周りが腫れて激痛が続き高熱を伴う場合があります。
肛門からの出血(赤い血)は、痔だと思って放っている方もいらっしゃいます。
下のグラフでも分かるように肛門からS状結腸までにできる癌は71%と高く、ファイバースコープで簡単に検査できます。
出血が見られたら是非とも検査をおすすめします。小さなポリープならその場で切除も出来ます。
受診するのに、特別な準備はいりませんが、診察を受ける前には、排便を済ませておいて下さい、直腸に便が詰まった状態では、充分な診察ができないからです。
ただし、下剤を服用したり浣腸をすると直腸の粘膜を刺激してしまい、炎症が起こつているかどうかの診察が難しくなります。ふだんから朝にスムーズな排便ができるように、睡眠を充分にとり、早めに起きて朝食をしっかりとるなど心がけて下さい。
診察でまず行われるのは、問診です。問診には、先生から直接質問を受ける場合と、問診表に記入する場合とがあります。
問診を参考に診断を進めていきますので、正確に答えられるように自分の症状をできるだけ整理しておきましょう。
痛み | 痛みがあるかないか、痛む場合はいつか、どの様に痛むかなど。 |
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出血 | 肛門から出血はあるか、ある場合はいつ・どのくらいの量で・どの様に出血するかなど。 |
脱出物 | 肛門から脱出物はあるか、ある場合はいつ・どんなときに脱出するか、それは自然に戻るか・指で押し込めば戻るか、それとも出っぱなしか。 |
腫れ・かゆみ | 腫れ・かゆみはあるか、ある場合は、どの部分でどの程度なのか。 |
分泌物 | 分泌物はあるか、ある場合はいつ・どこから・どんなものが出るのか。 |
便通 | 排便の回数、便の形状や硬さ、排便時間、残便感の有無など。 |
このほかに、既住歴や手術歴、家族の肛門疾患の有無、最近の大腸検査の有無などの質問もあります。
診察室はカーテンで仕切られていたり、露出部分はタオルなどで少なくするなどプライバシーが守られる配慮がされています。
診察台で体位をとってもらい、肛門の診察を行います。
診察は、目で見たり、指で触つたり、肛門鏡という器具を使つて行ないます。
肛門鏡
指で触る場合は、手袋やサックを使用します。
潤滑に麻酔作用のあるゼリーを塗り痛みを与えないようにします。
肛門に力を入れないように、リラックスして下さい。
すべての診察が終わると、先生から病気についての説明があります。痔の種類や程度、これからの治療方針など、先生からわかりやすく説明していただけます。 何か不安なことや疑問があれば、遠慮せずにきちんと先生に確かめましょう。
痔は慢性病で、長くつきあっていかなければならない病気です。また痔は、「生活習慣病」ともいわれます。 すなわち痔は、先生だけが躍起になつて治そうとしても、なかなか治りませんし、再発することもあります。痔の治療で―番大切なこと、それは、適切な治療と、自分から積極的に病気を治そうとする患者さん本人の姿勢なのです。
資料 痔のお話/肛門診察の実際
社会保険中央総合病院副院長 大場肛門病センター長 岩垂 純一